
仁淀川町役場本庁より車で約40分。
標高600~800メートルの場所に「椿山集落」があります。
今回は、この地で大切に受け継がれてきた伝統行事「椿山太鼓踊り」と「虫送り」を見学してきました。
安徳幼帝と平家を慰める「椿山太鼓踊り」
氏仏堂で奉納されるこの踊りは、平家落人伝説が残るこの地で、安徳幼帝への子守歌として、また平家の武将や公達(きんだち)の霊を慰めるために、古式にのっとって受け継がれています。
年に5回奉納され、6月20日には伝統行事「虫送り」も行われます。
「虫送り」の由来
平安時代の武将・斎藤別当実盛(さいとうべっとうさねもり)の伝説に由来します。
『平家物語』によると、実盛は乗っていた馬が稲の切り株につまずいたところを源氏方の敵兵に討ち取られ、その恨みにより稲虫と化して稲を食い荒らすようになったという言い伝えがあります。
そのため、実盛の霊を鎮め、稲虫を退散させる供養と豊作を祈るために始まったとされています。
今にも雨が降り出しそうな空模様の中、椿山の太鼓踊りが始まりました。
氏仏堂の境内にある長い年月を見守ってきたであろう老杉のもと、赤い炎を囲み、平家の家紋であるアゲハ蝶をあしらった衣装を身にまとった踊り手たちが舞います。
静寂に包まれた山里に、静かでありながら力強い歌声が響きます。緩やかな歩みで舞い進む姿を見つめながら、幼い安徳帝や平家の武将たちは、この地へ逃れたとき、何を思い、何を願ったのだろうと自然に思いを巡らせました。
舞が終わると、太鼓の行列がお堂を出発します。
虫は音に反応する習性があるとされ、踊り子が打ち鳴らす太鼓や、参列した人々が叩く札の音に引き寄せられると信じられています。一行は険しい斜面を下り、川へと向かいます。
川にたどり着くと、再び舞を奉納し、参列した人が叩いてきた札を川へ流して供養するとともに、豊作を願います。
かつては全国の農村部で広く行われていた虫送りですが、現在では大変希少な習俗となっており、ここ椿山でも町の無形文化財に指定されています。
集落の人々だけで開催することが難しくなっている中、町の出身者や行政、学生の皆さんなど、多くの方々が参加し、大切な祭りとして継承され続けています。
時代が移り変わる中でも、椿山の地に変わることなく響く太鼓の音と、平家への祈り。
これからも守り継いでいきたい伝統行事だと、改めて感じました。
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