2014年からはじまった「によどがわオンラインストア」は2023年11月をもって終了することになりました。
当初は、まだまだ「仁淀川」の知名度も低く、「によどがわ」と読めない方も多くいらっしゃいました。
仁淀川町を知ってもらおう。素晴らしい商品を紹介したい。
そんな想いで「によどがわオンラインストア」を運営を続けてまいりました。
作り手の顔がわかる商品をお届けしたい。
そんな気持ちで事業者様のもとに何度も通い、取材を重ねて書かれたインタビュー記事を記録としてここに掲載いたします。
鈴木:竹トンボや川漁の道具は昔は誰でも作っていたから、
手先が器用だからというわけではないです。
でも、僕は人より上手に作れてたね。
こんな仕事をしているから、「器用」の一言でよく済まされるんだけど、
一つ一つ気を使いながらどうしたらよくなるか考えているからね、
川漁の道具もそうやって上手に作れてたんだと思います。
ーー:確かに、「器用」の一言で片付けられると腹正しいですね。
照明器具を作られるきっかけはなんだったのですか?
鈴木:父の時代からやっていた時計メガネの商売が時代と共にダメになってきたから、
物を作ることはこどものころから好きでしたし、
身近にある材料ということでたまたま竹やかずらを使って。
初めは暇つぶしに果物からごやざるを作って、みなさんに使っていただき
喜んでもらいました。
7年前に高知県展に入選してから「売れるものを作ろう」と思い始めました。
ーー:制作するのにあたってのこだわりは?
鈴木:オリジナリティですね。常に独自の創意工夫にこだわっています。
こだわりの箇所をお話しくてる鈴木さん
ーー:土佐和紙を使っているのもこだわりですよね。
鈴木:土佐のいごっそう(※1)が漉いた紙ですから、とても丈夫ですね。
特に好きで使うのが大きめのあらすじが漉きこまれた(荒雲竜紙)です。
和紙はは和紙職人さんから直接仕入れていますが、
最近2人の職人さんが相次いで、1人は引退、1人はなくなりました。
この世界も後継者問題が深刻ですね。
※1 いごっそう
行動は大胆不敵にして豪快で、己の主義信念を貫くためには時として、
自己より優位の権力を持つものとも係争する反骨精神を有する一方で、
気乗りしないことは行動に移さない。
簡単に言うと、憎めない頑固者。
ーー:模様が独特の虎斑竹(とらふたけ)はどうして使用することに?
鈴木:最初は、仁淀川町の山にある竹で作っていたのですが、
竹虎さん(※2)という虎斑竹を専門に扱っている方に
たまたまこれで照明を作ってみない?と言われたのがきっかけです。
土佐和紙と虎斑竹(とらふたけ)の美しいハーモニー
ーー:竹虎さんは高知のネットショップで、すごくおもしろいですよね。
※2 竹虎さん http://www.taketora.co.jp/special/yo0001.html
ーー:気に入っている点はなんですか?
鈴木:まず、一番は重厚な模様と色の美しさですね。
そして加工するのにとても柔軟です。
まだまだこの竹も世間にしられていません。
私もこの竹と共にメジャーになりたいと思っています。
竹は冬の時期にしかばっさきしませんので冬に1年分を確保しますね。
竹の保管庫で
ーー:作業中一番気を使うことはなんですか?
鈴木:常にいいものを作りたいというのは当然でありますが、
そのためにも1本1本の竹の特徴を活かすことです、
節間の長さの違い、模様の違い、色合いの違い、
それらの特徴を見極めて使うことです。
ーー:自然のものを使っていると虎斑竹も様々な模様がでますよね。
一つ一つ合うように作られているんですね。
鈴木:台のところも自分で削っているので、
気に入らなくなると、ぽいっと隣の畑に捨ててしまいます。
畑から拾ってきてみせてもらいました
ーー:楽しみは何ですか?
鈴木:作業がうまく行ったときですね。
オリジナリティにこだわる私としては、
新しく考えたことが試行錯誤の上、思ったものにできたときはとても楽しいです。
妥協はせず向上したいと思いながら作っているから、
1年前の作品が稚拙に感じることもあるんです。
寝床でも考えてたら「ぱっ」と閃くと、
起きて工房に行って作業してたりするから
近所の人たちは「いつ寝てるの」と言われたり。
でも、やっぱり一番は毎日の晩酌かな。
ーー:イチ押しの商品は?
鈴木:すべて自分の構想から生まれたものですから好きですが、
この年になっても意欲さえあれば向上していくもので、
新作がいいですね。今ですと「繭」が好きです。
ーー:仁淀川町の好きなところは?
鈴木:川ですね。大渡ダムができた事は非常に残念ですが、
支流の長者川・土居川・中津川は大切にしたいですね。